ホテル奥久慈館、古くから美人の湯とされた肌を滑らかにする温泉と、近くは袋田の滝をはじめ、久慈川沿いの風光明媚な環境です。ホテル奥久慈館は、美肌の湯として有名な奥久慈大子温泉にある静かな湯宿。 お食事は郷土料理も含んだバイキングをご用意。もちろん飲み放題もついています。澄み渡る風が周囲の山々よりそよぐ、自然に囲まれた奥久慈温泉。その湯は美人湯として親しまれています。
「美人の湯」でベッピンさんに。
大子温泉のいで湯を味わうホテル奥久慈館のお風呂。さらっとした透明なお湯は血圧、動脈硬化、外傷などに効きます。
茨城県久慈郡大子町池田2369-3
ホテル奥久慈館 幽霊 心霊
※検索エンジンのサジェストで「ホテル奥久慈館 幽霊 心霊」というキーワードがありますが、口コミや宿泊ブログを調べた結果、こちらのホテルで心霊現象が起こった!幽霊が出た!というものはありませんでした。岩手には沢山の心霊スポットがありその影響でこういった「心霊」「幽霊」「事故」といったサジェスト結果になったのではないかと推察されます・・・。また歴史があるホテルなのでもしかしたらこう言った推測が生まれた可能性もあります。
ホテル奥久慈館 宿泊記口コミブログ
2005年の夏、東北にある「ホテル奥久慈館」に行きました。会社からリストラされて、傷ついた心をいやすためです。
東北の「ホテル奥久慈館」を目的地に選んだ理由は3つです。
東京より北に行った経験がないので、時間があるうちに行きたかった。
旅雑誌で紹介されていた「ホテル奥久慈館」の軍鶏(しゃも)料理の写真が美味しそうに目にうつった。
大衆雑誌で、茨城の内陸側の旅館ではコンパニオンと遊べる、という内容の記事に興味があった。
地元関西から東京へは新幹線に乗りました。
東京駅を降りると「JR特急ひたち」に乗って約1時間でJR水戸駅に到着します。
駅構内のJR水郡線・郡山(こおりやま)駅行きの列車に乗り、揺られること1時間半かけて常陸大子(ひたちだいご)駅に着きました。
目的の宿である「ホテル奥久慈館」は、駅を降りて久慈川を超えて上流に沿って歩くこと30分のところに位置しています。
チェックインまで2時間以上もあったので、常陸大子駅から水戸に戻る列車に10分ほど乗って、袋田駅に向かいました。駅から車で8分ほどの距離に位置する、日本三大銘瀑の一つ「袋田の滝」を見るためです。
袋田駅を出ると外観がログハウス調で、周りに店がありません。滝まで連絡するバスに乗り、滝に向かいました。
バスを降りて、滝に向かうトンネルをくぐり抜けると、ゴーゴーと音がします。滝に近づくほど音が大きくなり、水しぶきが顔に当たります。
周囲は滝から落ちた水がミスト状になり空気中を浮遊するので涼しく、暑いバス停に行くたくなくなります。
チェックインの時間が近づいてきたので常陸大子駅に戻ろうとバス停に向かうと、バスはすでに出発しています。時刻表を読み誤りました。
徒歩で40分ほどで袋田駅に着きましたが、今度は1時間以上待たないと列車が来ないことが分かり、公衆電話でホテルに電話しました。
「今は袋田駅にいますが、チェックインの時間が遅れます」と伝えたら、ホテルのスタッフがうれしいことを言ってくれます。
「そこで30分ほどお待ちください。ホテルの車で迎えに行きますので」
列車到着まで暑い中を待つのはつらいな思っていたところに、この一言で元気を取り戻します。
時間通り30分後に、ホテルの名前が入った車が来ました。
私は後部座席に乗せてもらうと、ホテルまで直行です。
ドライバーが男性だったので、思い切ってたずねます。
「雑誌で読んだのですが、ホテルにコンパニオンを呼んで遊ぶことはできるのですか?」
ドライバーは笑って答えます。
「お客様、それは10年前の話ですね。風俗まがいのことが多く、家族連れのお客様にご迷惑がかかるので
今はどのホテルもコンパニオンの出入りは断っているんですよ。でも、今でもそんな記事が出回るのは問題ですね」
「そうなんですね」と笑いながら答える反面、「コンパニオンを呼んで遊ぼうと金まで用意したのに」と残念な気持ちにもなりました。でもその気持ちはすぐに消えます。車が久慈川沿いを走行すると、夕日が川面に跳ね返り、金色の川に変わる風景を見て感動したからです。
ホテルに到着して最初にしたのは、温泉に入浴です。袋田の滝で服が少しぬれ、体が冷えたからです。
大浴場に入ると窓が大きく、外の緑が太陽に照らされ葉が輝いています。浴槽は六角形のタイルばりで、子供でなくても、大人でも少しなら泳げる広さがあります。
泉質はph8.75のアルカリ性で、ヌルヌルする肌触りがあります。アルカリ泉質はクレンジング効果が高いから皮脂汚れや油分を落とすので、入浴後は真湯で洗い流して保湿するよう、入浴前に仲居さんから言われました。
「私、保湿剤は持ってない」と言うと、仲居さんが「じゃあ用意しますので」と言って部屋を出ました。戻ってきた仲居さんの手にはパック入りの保湿剤があります。「これで間に合いますので、お使いください」と言って、渡してくれます。
温泉から上がり保湿剤を体に塗ると肌にカサカサ感がなく、かゆみも起こりません。また、肌が保湿されているので、温泉の温もりが体に残り、冷えた体が楽になりました。
温泉から上がると、夕食の用意ができていました。
仲居さんが料理の説明をしてくれます。
「これはここで育てられた軍鶏で、今日は串焼きにしました」
「こちらは今がシーズンの鮎で、久慈川に設置したヤナ(木や竹で組んだものを川に設置し、そこに流れ込んだアユを捕獲するワナのこと)でとれたものです。ホテルの近くにあるので、明日見に行ってもいいですよ」
「この肉は常陸肉で、茨城のブランド牛です。大麦、小麦、とうもろこしなどのミネラル豊富な飼料と、良質な乾牧草と稲わら食べさせているので、霜降りの脂肪も良質なものなので、肉が苦手なお客様にも好評です。今日出した部位は肩ロースなので、薄切りにしてすき焼き風にしました」
他の料理も茨城で生産された食材で調理されています。こんな茨城つくしの料理は、他のところではいただけないでしょう。
いつも早食いの私ですが、この時ばかりは味わうよう、舌鼓を打つようにゆっくりかみ締めました。ビールを飲むと口に残る料理の余韻が消えるので、飲まずに料理を堪能します。
特に逸品なのが、軍鶏(しゃも)料理です。軍鶏は闘鶏(とうけい)用のニワトリなので、通常のニワトリよりも肉が太くコクもあるので、かむほどにうまみが舌を刺激します。これを食べたら当面の間、普通の鶏が食べられなくなるくらいの味でした。
料理を食べ終わると、ホテルからすぐの距離にある久慈川まで歩きました。夏の川は雪解け水が流れる春に比べ、川を流れる水の音も静かだとホテルの受付で聞きました。
茨城の海側は暑くても、内陸側は海側に比べ温度が低いので、蚊もあまり飛んできません。道沿いに車も通らず、あたりは静かで、聞こえるのは川が流れる音だけです。
部屋に戻って窓を開けると、川の音が聞こえてきます。聴いているうちに眠気がつのります。川の音を音楽がわりにして眠りにつきました。
朝になり、朝食が部屋に運ばれてきました。
「今日は軍鶏の卵のだし巻きと、納豆を用意しました。納豆のタレは軍鶏の骨から取った旨みで作ったものです」
だし巻きは卵も黄身が濃厚なので、しょう油で味付けをしなくても美味しくいただけます。納豆をかき混ぜて箸を引き上げると太い糸ができるほどに粘りこく、そこにタレをかけると糸から納豆本来の香りが引き立ってきました。
チェックアウトの時間になりホテルを出ると、久慈川に設置されているヤナが見えました。
ヤナの上に白い帽子に服を着た人が手に竹カゴを持っています。よく見ると、ヤナにかかったアユを手にして竹カゴに放り込んでいました。昨日の鮎もああして取ってくれたから、いただけたのでしょう。
久慈川に沿って歩いて川にかかる橋を渡ると、常陸大子駅に向かう道に入りました。通勤通学時間ではないので町は静かです。
常陸大子駅に電車が来るまで時間がありました。
「ホテル奥久慈館」の気立てのいいスタッフに仲居さん、美味しい料理、静かで川の流れが心地いい環境に心がいやされました。
「ホテル奥久慈館」を訪れてから20年以上も経過しましたが、記事を書いているとあの時の光景が隅々まで思い出せる素敵なホテルです。