幻の鉄道「戸井線」の跡
函館市内から国道278号線(下海岸線)を旧戸井町に向かう途中、汐首灯台下の山の中腹に、古代ローマの水道橋のようなコンクリート造りの大きなアーチ橋を見ることができます。
これが一度も列車が走らなかった幻の鉄道「戸井線」の跡です。
1936(昭和11)年に着工された戸井線は、五稜郭駅から戸井駅までの29.2kmを結ぶ予定でした。
津軽海峡の防備のために建設された汐首岬砲台への物資輸送や、青函連絡船の輸送距離を短絡するため、戸井から津軽海峡を隔てた青森県の大間まで連絡船を運航し、大間から先は大間線(大間~大畑間、未完成)に接続するという計画があったものの、1942(昭和17)年に戦局悪化や資材不足により、わずか2.8kmを残して工事は中断。
五稜郭駅から湯の川付近までの線路が敷かれ、湯の川から先の区間も戸井までの路盤や橋梁がほぼ9割方完成した状態で廃線となりました。
函館市汐首町