海水を沸かした「汐湯の露天風呂」が、この宿の名物なんです。
目の前にはどこまでも広がる太平洋。
遠くに見えるのは久礼湾の双名島。湯に浸かると、まるで海の上にぷかぷか浮かんでるような気分になります。
海水を使っているから、湯上がりの保温力がすごいんですよ。
肌がしっとりして、いつまでもぽかぽか。冷泉を沸かした内湯もあって、そっちからの景色も最高です。
黒潮本陣 宿泊レポ
高知県の中土佐町久礼(くれ)という港町。
その小高い丘の上にあるのが「黒潮本陣」です。太平洋を見下ろす絶景旅館で、まさに“海と空のあいだに泊まる”って感じ。
この日は家族で車旅。まずは、宿に行く前に「大正町市場」へ寄ってみました。
ここは“昭和がそのまま残ってる”といわれる商店街。
通りを歩くだけで魚の匂いと潮風が混ざって、なんだか懐かしい気持ちになります。
市場の半分くらいが魚屋さん!どのお店も威勢のいい声が響いてて、歩いているだけで楽しい。
宿でお刺身を食べる予定だったので、市場の端っこのお茶屋さんで、ところてんとわらび餅を。
中土佐町はところてんが名物みたいで、木の突き器が店先で売られていてちょっとテンションが上がりました。
そのあと向かったのは「風工房」というスイーツカフェ。
苺のケーキが有名らしく、母は苺ソフトを注文。
「これ、濃い!ちゃんと苺!」と感動していました。
観光も満喫したところで、いよいよ黒潮本陣へ。
駐車場は広くて停めやすく、車を降りた瞬間に潮風の香り。
入口の前に立つと、右手いっぱいに海が広がっていて、つい足を止めて見入ってしまいました。
チェックインして、靴を脱いで畳の廊下を進むと、木の香りと静けさに包まれます。
案内された部屋は広い和室で、窓の外は一面の青い海。
「うわ〜!」って声が自然に出ちゃうほどの絶景でした。
お茶菓子でひと休みしたあと、さっそく温泉へ。
廊下には小さなランプが並んでいて、やさしい光に照らされながら歩くだけで気持ちがほぐれていきます。
露天風呂の扉を開けた瞬間、潮風と湯気がふわっと混ざって、思わず深呼吸。
お湯は海水で、ちょっとピリッとするけど、見上げた空と目の前の海がそれをすぐに忘れさせてくれます。
夜は待ちに待ったカツオづくしの夕食。
前菜から天ぷら、そしてカツオのたたき。
分厚い切り身に粗塩をぱらり。藁焼きの香りがふわっと鼻をくすぐって、これはもう反則級のおいしさ。
中土佐町はゆずの産地でもあるので、私はゆずスカッシュを。
爽やかな酸味がカツオの旨味をさらに引き立ててくれて最高でした。
炊きたての土鍋ご飯もおかわりが止まらず、気づいたら三杯目に突入。
夜風が心地よくて、もう一度お風呂へ。
露天風呂に入ると、頭上には満天の星。
山の上だから街の光が届かなくて、星が本当に近い。
湯面に映る星をぼんやり見ていたら、時間の感覚がすーっと溶けていきました。
翌朝は、朝風呂のあとにお土産コーナーへ。
粗塩、ゆずクッキー、カツオの炊き込みご飯の素。どれも魅力的で目移りしちゃう。
私は粗塩を、母はクッキーを購入。
チェックアウトのあと、庭に出てもう一度海を眺めました。
朝の光に照らされた海は柔らかくて、昨日よりも少し優しい顔をしていました。
黒潮本陣は、ただの温泉宿じゃありません。
海と風と人の温もりが、心の中にじんわり残る場所。
「また帰ってきたい」と思える宿でした。
久礼大正町市場
高知県中土佐町にある「久礼大正町市場」は、港町の空気そのままに、朝どれの魚や地元の野菜、果物が並ぶ活気あふれる市場です。
通りに立つだけで、潮の香りと人の声がまざりあって、なんともいえないあたたかさ。
市場の中には魚屋さん、八百屋さん、果物屋さんがずらり。
そして、買った魚をその場で調理してくれる食堂まであるんです。
看板メニューはやっぱり「久礼丼」。
地元で揚がったばかりの魚介を豪快にのせた海鮮丼で、口に入れた瞬間、海の恵みが広がります。
干物や旬の野菜、おみやげにもぴったりな果物もそろっていて、つい荷物が増えちゃう市場です。
この市場の歴史は、明治の中頃までさかのぼります。
大正時代の大火で一度焼けてしまったものの、大正天皇からの復興費によって町が立ち直り、通りの名を「大正町」と改めたのだとか。
それ以来、人々に親しまれ続けている“漁師町の心”のような場所です。
アクセスも便利で、中土佐ICから車で約5分。
JR土佐久礼駅からは徒歩5分、バスを使っても「久礼駅前」で下車して徒歩3分ほどです。
朝の光に照らされた市場のアーケードを歩いていると、
どこからともなく「おはよう!」と声が飛んできて、なんだか地元の一員になったような気分になります。
旅の途中にふらっと立ち寄るだけで、“高知らしさ”を全身で感じられる、そんな場所です。
中土佐ICから約5分
JR土佐久礼駅下車、徒歩5分
高知高陵交通バス「久礼駅前」下車、徒歩3分




