渓山閣

まったり温泉、たっぷり会席で非日常を。【プロが選ぶ日本の旅館100選】料理・もてなしの達人入選！湯の香立つ旅情、今宵は温泉三昧。立ち込める湯煙の中で身も心もリラックス。ほんのりと染まった肌に、旅の風情が漂います。

京都・亀岡おもてなしの宿渓山閣 宿泊記口コミブログ

京の奥座敷、湯の花温泉は戦国時代の武将たちが、刀傷を癒した温泉として長く愛されてきました。
風光明媚で静かな佇まいは、都会の喧騒に疲れたらふらっと行きたくなる、そんな温泉地です。
私が泊ったのは、お盆休みです。
まだまだ夏真っ盛りな感じでしたが、お宿の前の山々からはヒグラシの鳴く声が響き渡り、秋の訪れを感じさせました。
山全体が、ヒグラシになったような壮大な声に大変感動しました。
賑やかな温泉地も楽しいですが、虫の音に耳を傾ける場所も良いものです。

おもてなしの宿　渓山閣は、大きなお宿でどっしりとした作りです。
まずはチェックインを済ませお部屋で休憩をすると、夕食前に温泉へ入ります。
湯の花温泉の泉質は、単純弱放射能温泉（天然ラジウム温泉）で
神経痛や筋肉痛、関節痛といったものから、女性に多い冷え性、体の疲労に胃腸の回復、婦人病ちょっとレアなもので、痛風・胆石症などに効果があるとされています。
日本家屋風の男性の湯「なごみの湯、」総檜作りの女性の湯「ほのかの湯」を楽しむことが出来ます。
温泉からは京のお庭が広がっていて、優雅なひとときを過ごせます。

湯の花温泉には、桜石の伝説というものがあります。
天然記念物に指定されているもので、ロビーに展示されています。
石の断面図は、桜の花びらのような模様があり、日本でのみ産出される石です。
大豆ほどの大きさで、どこを切っても桜模様が浮かび上がります。
本当に、小さな石なのですが何かスピリチュアルな力がありそうな気がしてきます。

その昔、この地に住み着いた鬼が人々を困らせていました。
桜石は鬼を退治出来る力を持ち、その霊力で駆逐されました。
退治された鬼の涙は、はらはらとあふれ出します。
流した涙は、湯の花温泉の湯となり、その後は、万病の改善と厄除けの湯として人々を魅了します。
桜石は鬼退治から節分の豆のルーツとなりました。

桜石には、まだまだ不思議な言い伝えがあります。
南北朝時代、足利尊氏は篠原八幡宮で挙兵します。
その時に、金色の桜石を矢に結び大空へ解き放ちました。
桜石を使い、天に必勝祈願をしたのです。
結果は歴史の史実通りです。
それとは逆に、明智光秀は神仏を頼りとはせず、桜石の必勝祈願を行いませんでした。
秀吉に攻め込まれ、落ち武者狩りの手に落ち、その命を散らして行きました。
こんな小さな桜石には、歴史を動かすエピソードが静かに語り継がれているのです。

さて、ロビーの桜石から少し離れ、お食事処「はなかれん」で京の料理を楽しみます。
「プロが選ぶホテル１００選」の料理部門で連続入選を果たしたお料理がテーブルに並びます。
京の料理は味付けがとても上品です。
薄味のなかに、奥ゆかしく広がる滋味が五臓六腑に染み渡ります。

こだわりの器に盛られた料理は、見た目も美しくさながら絵画鑑賞をしているような気分になります。
滝の流れるお庭を眺めながら、贅沢なひととき。
湯の花温泉は、今日もこんこんと豊富な湯をたたえ宿泊客を待っています。