熊襲(くまそ)の穴は、鹿児島県霧島市・妙見温泉の西側、そこから約200mほど山腹を登った場所にある洞窟です。
南九州の古代史と神話が交差する、歴史的な伝承地として知られています。
古代の南九州には、クマソ(熊襲)と呼ばれる人々が暮らしていたとされます。その名は「熊のように猛々しく勇敢な人々」を意味すると伝えられ、『古事記』では「熊曽」、『日本書紀』では「熊襲」と表記されています。
この熊襲の穴は、クマソ族の首領であった川上梟帥(かわかみたける)が住んでいた場所と伝承されており、女装した日本武尊(ヤマトタケルノミコト)によって討たれた、神話の舞台ともされています。
洞窟の入口はやや狭く感じますが、中に入ると想像以上に広がりがあり、奥行き約22m、幅約10m、高さ約6mと、自然の洞窟としては十分な規模があります。
現在、洞窟内には芸術家・萩原貞行氏によるモダンアートの壁画が描かれており、古代伝承の舞台でありながら、どこか現代的で神秘的な空間が広がっています。
また入口付近には、芸術家・竹道久氏による作品「神々の想い」が設置されており、訪れる人を静かに迎えてくれます。
熊襲の穴は心霊スポットなの?【実体験ベースで解説】
インターネット上では「熊襲の穴=心霊スポット」という表現を見かけることがあります。これは、川上梟帥が日本武尊に討たれたという神話的伝承が残る場所であることから、イメージとしてそう捉えられている可能性が高いと考えられます。
実際に現地を訪れてみましたが、いわゆる心霊的な怖さや不穏な空気はまったく感じませんでした。
むしろ訪問時には、壁画を制作している萩原貞行氏ご本人が作業中で、洞窟内は静けさの中にも創作のエネルギーが満ちており、「怖い場所」というよりも、芸術と歴史が共存する力強い空間という印象でした。
神話や伝承に触れながら、現代アートを同時に体感できる場所として、心霊スポットというよりも歴史・文化・芸術を感じる観光スポットと捉えるのが適切でしょう。







