法師温泉 長寿館|時を越えて湯に浸かる、上州の名湯
群馬県みなかみ町、上信越高原国立公園の奥深くに佇む
法師温泉 長寿館は、“秘湯”という言葉がこれほど似合う宿もないと思わせてくれる一軒宿です。
創業は明治8年。
宿の象徴ともいえる大浴場「法師乃湯」は、明治時代の鹿鳴館を思わせる佇まいを今に残し、国の登録有形文化財にも指定されています。
建物そのものが、もはや“浸かれる文化財”という特別な存在です。
混浴の法師乃湯|湯と建築に身を委ねる時間
法師乃湯は、混浴の大浴場として知られています。※バスタオル・湯浴み着は不可ですが、女性専用の時間帯が設けられており、初めての方でも安心して利用できます。
この湯は、弘法大師が巡錫の折に発見したと伝えられ、その名から「法師乃湯」と呼ばれるようになったそうです。
最大の特徴は、自然湧出の温泉であること。近年では非常に珍しくなったこの湯は、浴槽の底から直接湧き出しており、加水・加温を最小限に抑えた、まさに“生きた温泉”。
湯に浸かると、静かに、でも確実に身体の芯まで温まっていくのがわかります。
泉質と効能について
泉質はカルシウム・ナトリウム硫酸塩泉(石膏泉)湯温は約43℃、無色透明で、やさしく包み込むような浴感です。
一般に、胃腸の不調、火傷、動脈硬化などに良いとされており、長く湯治場として親しまれてきた理由にも頷けます。
天井の高い木造の浴室に、やわらかな自然光。ちゃぷん、という水音だけが響く空間で、「観光」でも「贅沢」でもない、ただ“湯と向き合う時間”を過ごせる場所でした。
派手さはないけれど、心の奥に静かに残る余韻は、間違いなく一級品。「秘湯って、こういうことなんだなぁ」そう思わせてくれるお宿です。





