藤白神社から熊野三山へと向かう旅人たちが通る山道は、熊野古道の中でも特に難所として知られています。この道で、万葉の時代の貴公子である有間皇子は不慮の死を遂げました。坂の入口の右手には、有間皇子を偲ぶ墓と歌碑が建てられており、道沿いには道標としての丁石地蔵が見られます。これらの地蔵は、元禄年間(1688~1704年)に海南の高僧、全長上人によって、旅人たちの安全を祈願し、坂の長さを示すために1丁ごとに設置されたものです。
藤白峠には地蔵峰寺があり、ここは古来より熊野路で最も美しい景観の一つとされています。和歌の浦をはじめとする歌枕の地10カ所を望むことができる、眺望が素晴らしい御所の芝があります。また、この地は神仏霊場としても知られ、熊野本地仏(藤白王子権現本堂)が祀られています。
和歌山県海南市藤白